Entry 217 Permanent LIN K
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いよいよアニメ新クールですね。 大学もまた始まって,気分一新です。 |


アニメの「ARIA」もOVAを挟んで,TVシリーズは今作で第3シーズン目という,長期シリーズになりましたね。
第1話は,新年の始まりに相応しい,“明日への希望”に満ちたお話となりました。


Aパート。
オープニングソングをバックに流れる美しい風景が,第3期も変わりなく,ネオ・ヴェネツィアへと心を誘います。
海の蒼と空の蒼に落ち着いて癒され,満ち足りた気分になったと思ったら,心はもう物語世界の中へと引き込まれている,この久し振りに味わう不思議な感覚もいつも通りで,嬉しくなります。
夕焼けに赤く染まるネオ・ヴェネツィアもまた美しく,どこか懐かしい郷愁を覚えますね。


いつもの風景,いつもの日常。
灯里たちもまた,いつもと同じように,見習い三人組での合同練習中。
春の気配がもうすぐ側までやってきている,ある冬の小春日和の日のこと。
その穏やかで暖かい空気に,心を緩まされてしまって,ついついみんなで仲良く大あくびをしてしまいます。
伝染するあくびは心の共有であり,時間と場所の共有を象徴するものでもあるのでしょう。
みんなで一緒に居ること,共に安らかな時間を過ごしていることの喜びを示すあくびが,見ているこちらにまで移ってきたら,ネオ・ヴェネツィアの空気を共有できた証なのでしょうか。
もっとも,アリスちゃんに言わせれば,それは弛んでいる証拠になってしまうそうですが。


そんなゆったりとした時間を過ごしていた灯里たち3人の目に飛び込んできた姿は,知り合いである,ノームのアル君とサラマンダーの暁さんの姿でした。
特に,アルに想いを寄せる藍華は嬉しそうです。
アルと暁は,どうやら昇格試験に向けて共同勉強中のようです。
将来へ向けての夢と勉強,これが今回の一貫したテーマであり,ここでは後半への布石となっていますね。
相変わらずな藍華と暁の掛け合いや,もみ子の揉み上げを引っ張る図も懐かしくて,楽しかったです。


帰り道,操舵手が藍華へと変更しているさりげない描写が,「しっかりと練習しているんだな」という様子を見せてくれていて,良いですね。
橋の下にかかる影と,そこを通るゴンドラを映す水面の構図と描写が美しく,丁寧に描き込まれていて,思わずため息が出そうになりました。



シルフのウッディーさんの手によって,ARIAカンパニーの元へと,一足早い春を知らせる贈り物が届きます。
送り主は以前にアリシアさんのゴンドラを利用して下さったお客様からで,中身を見ると素敵な春の薫りを届ける,桜の紅茶と桜のジャムでした。
これを見た灯里とアリシアさんは,みんなを呼んでパーティーを催す事にします。
カーニバルが終わって観光客が落ち着いた今ならば,日々を多忙に過ごしている水の三大妖精が全員揃う事もできるのではないかというアリシアさんの提案に,灯里は早速準備へと向かいます。
アリア社長もクッキーに足形(手形)を押すのを手伝って,大忙しですね。
この辺のカットの見せ方も上手く,省略しながらもしっかりと楽しい準備風景を描写し,伝える事ができているのは,さすがとしか言えません。
“素顔のネオ・ヴェネツィア”という言い回しがありましたが,これはある意味では,新年を迎えてひっそりと清閑な様子を見せていた,ついこの間までの現実社会への比喩だったのかもしれませんね。
新年から始まる番組なので,もしかしたらその様子を年頭において,脚本が書かれたのかもしれません。
まだお仕事が残っているアテネさんだけは,後から参加する事になりましたが,晃さんもくるみパンを買ってきてくれて,藍華・アリスちゃんと,いつものみんなが揃っての,賑やかで楽しいパーティーが,ついに始まりました。


Bパート。
美味しいクッキーと紅茶に舌鼓を打ちつつ,自然と話題は,やはり気になるプレゼントを贈ってくれた送り主さんのものになります。
どういうお客さんだったのかという問いに,灯里とアリシアさんは思い出深い回想をします。
それは冬のある日,老いた母親のために娘が用意した,ささやかな親孝行の旅行でのこと。
ネオ・ヴェネツィアに旅行するのが生涯の夢だった母親を連れてくることができて,本当ならとても喜ばしく,誇らしい親孝行になるはずだった娘さんでしたが,季節はあいにくの冬で肌寒く,雲がかった空模様に,表情も曇りがちです。
「もっと暖かくなってから連れてきて上げられれば良かったのに」と後悔する娘さんに,「雪は自分が住んでいる場所じゃ滅多に見られないから嬉しい」となだめるお母さん。
そんな温かい親心を感じたアリシアさんは空を見上げて,素敵なプレゼントを演出します。


ポツリ,と一粒だけ先に降りてきた雪を,お母さんが差し出した手へとピッタリと納まるように,完璧なまでに細かく位置を調整して舟を動かすアリシアさんでしたが,普段ならゴンドラを揺らすような運転をするのは,お客様に対してとても失礼に当たるはずなのに,あえてそのマナーを破ってまでも,それ以上に大切な思い出をプレゼントしたのです。
それこそが,ただ完璧なだけの操舵術によってもたらされたプレゼントなのだというだけではない,もっとそれ以上に,アリシアさんの優しさと思いやりによって授けられたプレゼントなのだということを良く示している,素晴らしい描写だったと思います。
セリフの上では,ネオ・ヴェネツィアと娘さんからお母さんへと送られたプレゼントという説明になっていましたが,これはもっとそれ以上に,優しいお母さんの気遣いによって,娘さんの後悔を晴らすプレゼントであり,さらにそれは,アリシアさんによる,娘さんの孝行もお母さんの思いやりも両方を汲んで,どちらにとっても笑顔で良い思い出になって欲しいという,彼女の優しさによってもたらされたプレゼントでもある,冬の温かな奇跡だったのでしょう。


素敵なアリシアさんの心配りに感動する一同でしたが,藍華からは,アリシアさんと同じくらいに素敵な晃さんの様子が語られます。
それは旅行で羽目を外したお客様が,晃さんの操縦するゴンドラに乗っている時に,調子に乗って踊りだして,河へと落ちそうになったというものでした。
晃さんがバランスを取らなければ,お客様が踊りだした時点で水の底へと落ちていただろうに,晃さんは少しもそれを諌めることなく,いい加減に我慢しかねた藍華が,ついに怒りそうになった時に,運悪くバランスを崩して落ちそうになったお客さんを,晃さんは颯爽と跳んで助けたのです。
しかも全く怒りもせずに,得意の話術で機転の利いた冗談を言って,一つ間違えれば大騒動に繋がるような事故を,笑い話で済ませられるような後味の良い思い出へと,一瞬のうちに変えてしまったのでした。
ここでも,先のアリシアさんと共通しているテーマとして,急に跳んでお客様の視界を遮るという,ウンディーネにとってはあるまじきマナー違反を犯してまでも,お客様に後味の悪い思いをさせないようにするという,三大妖精の度量の深さが表れています。
もっとも,この場合は一歩間違えればお客様の命にも関わる事ですから,ある意味では当然の行動なのですが,さらにその上で,お客様の危険な過失であってもそれを咎めずに,「旅行の思い出は後味の良い爽やかなものであって欲しい」という,晃さんの温かな気配りが込められている点こそが,重要なのだと思います。


その藍華の話を受けて,アリスちゃんも密かに誇りにして尊敬している自らの先輩,アテナさんの話をしはじめます。
それは,泣きじゃくり駄々をこねる子供の様子を見たアテナさんが,変な顔をして一瞬のうちにその子供をあやして,笑顔にしてしまったというものでした。
ここでもまた,先と共通するテーマとして,一見したところでは,いつも通りにボケているアテナさんのおかしな行動に思えるけれども,その根底には,「せっかくネオ・ヴェネツィアを訪れて,自分のゴンドラに乗ってくれたお客様には,その思い出が笑顔と共にあるものであって欲しい」という,アテナさんの優しい思いやりが込められたものなのでしょうね。


そんな話をしていると,「噂をすれば影がさす」と言いますが,まさにその通りに,お仕事を終えたアテナさんが姿を現します。
「アテナさんのことを褒めていた」と,素直に言うのが気恥ずかしいアリスちゃんは,とっさに「いつものようにアテナさんはドジっ娘だという話をしていたのだ」と誤魔化しますが,結局は白状してしまいます。

「三大妖精の皆さんはすごい」という話から,「それに比べると自分達はまだまだだ」と落ち込む藍華たちでしたが,アリシアさんの口から「確かにみんなはまだまだかもしれないけれど,私達だってまだまだよ」という,驚きの言葉を受けます。

「だったら,いつになったら晃さんは満足するんですか?」という藍華の問いに対して,晃さんは,「多分,どこまでいっても満足できないんじゃないかな」と,答えます。
「自分はここまでだ」と満足してしまったら,それ以上先に進めないから,いつまでももっと上をもっと先を目指して,向上心を持ち続けていくことの大切さ。
明日の自分は今日よりも,もっと素敵に輝いていることができるはずという,自分に自信を持って,夢と希望を持ち続けていくことの大切さ。

今の自分がまだまだなのは,そこにまだ成長できる余地が残されているから。
「これから先に可能性があるんだから,それは当然の事だ」と説く晃さんに勇気を貰って,「それはとても素敵な事なのよ」と説くアテナさんに励まされて,「だから,今の自分を精一杯楽しんでいけば良いんじゃないかしら」と,素敵な笑顔で言うアリシアさんに元気付けられて,灯里と藍華とアリスちゃんは,明日への夢と希望を胸に,満面の笑顔を咲かせるのでした。
こうして見てみると,先ほど話に挙がっていた日々のお客様に対する三大妖精の素敵な仕事振りというものが,まさに身を持って後輩達に教えを示すものであったということが,深く理解できますね。
お客様に対しても,「ネオ・ヴェネツィアでの思い出は,最後まで笑顔であって欲しい」という思いやりを持って接していた三大妖精たちでしたが,それは灯里たち後輩に対する指導という点にも,共通して表れている想いなのです。
いつか自分たちが引退して,灯里たちがプリマ・ウンディーネとして活躍する時になっても,さらにその先,後輩に託して引退する時になってでも,最後まで,「ネオ・ヴェネツィアでの思い出は笑顔と共にあって欲しい」という,アリシアさんたち三大妖精の願いなのでしょう。


自分達から見たら,すでに完璧に見えるアリシアさん達が,今でも“自分だけの輝き”を追って,常に上を目指して努力していることを知って,励まされた灯里たちは,以前にグランマから教えてもらった言葉を思い出します。
それは,「一生懸命に頑張る自分を褒めてあげて,世の中の全ての物事を楽しむ事ができたなら,数多のウンディーネの中で輝く一番星になれる」ということ。
尊敬する大好きなたくさんの先輩達に見守られて,自分達が今この時を過ごす事ができている。
その奇跡のような時間に感謝して,でもそれに甘えないで,いつか“自分達だけの輝き”を持って,後輩達にもそう思われる存在になれるようにと,灯里達は決意を新たにします。


そんな彼女達の背中を見守りながらアリシアさん達は,「いつの日か自分達の元を離れていってしまう日がきたらきっと寂しいけれども,でもきっと彼女達なら,自分達とはまた違った,新しい素敵な風をネオ・ヴェネツィアに運ぶプリマウンディーネになってくれるはず」だと,期待に胸を膨らませます。
この場面での,影で動きを見せる手法と,未来を担う後輩達の後姿を見守る三大妖精の後姿を,カメラを引きながら見せる構図などは,セリフの深みを増して,絵で情景とその場にいるキャラクターの心理を重ねて物語る,さすがの演出ですが,この辺りは今回,絵コンテを自らが切っている佐藤順一監督らしいカットなのではないでしょうか。
今回は序盤での漫符の利用もあったり,デフォルメされたキャラクターをここぞという要所要所で使用している構成なども,佐藤順一監督作品らしさが良く表れていて,面白かったです。
全体を通したまとめとして,違った事象を通して一貫したテーマを描いているという,基本的な分かりやすい構造でしたが,「未来に夢や希望を持つことの素敵さ」や,「いつも日々を勉強して,向上心を持ち続けることの大切さ」,何よりも,「同じ場所で同じ時を過ごす人には,いつもいつまでも,笑顔で良い思い出を持っていて欲しい」という,温かな優しいテーマが描かれていた点が,「ARIA」という作品らしさを出していて,良かったのではないでしょうか。
今回は3rdシーズンの第1回目ということもあってか,アニメオリジナルのエピソードにして,全体的には各キャラクターの顔見せといった印象も強かったのですが,全員が顔を揃える事を逆に利用して,灯里たちが先輩たちへ抱いている尊敬の想いや,逆に三大妖精から灯里たち後輩へと託される希望の想いを中心にした構成が,良く映えていたと思います。
相変わらずですが,声優さん方の演技も好印象で,第3期になって円熟度が増した感もあります。
特に,今までもずっとそう感じていましたが,晃さんに皆川純子さんをキャスティングしたスタッフは,素晴らしい選択眼だったのではないかと思います。
彼女が持つ独特な重みのある声が,晃さんというキャラクターにとって最も重要な,説得力を増大させていると思うくらいに,役柄に合致していると思います。
アリシアさん役の大原さやかさんと,アテナさん役の川上とも子さんも,いつもながらの優しく包み込むような声で,後輩たちを温かく見守るエピソードに,華を添えていたのではないでしょうか。
反面,少々残念だった・・・というよりは,個人的に気になってしまった箇所としては,テーマの重複がやや単調で,少々しつこく感じてしまったかもという点があったかと思います。
特に,最初のアイちゃんのセリフから,「次に私がネオ・ヴェネツィアに行った時は,もう灯里さんはプリマになっているかも」と思わせぶりな発言をさせたり,灯里たちが何度も,「そろそろ昇格試験なのかもしれない」とか,「いつその時がきても良いようにしておく」とか,「プリマ・ウンディーネになるぞ」と言ったりしている場面では,最近の原作での流れを考えてしまうと,「今回のシリーズの最終回では,きっとこうなるんだろうな・・・」という予測が安易にできてしまって,少しうるさく感じてしまいました。
まあこれは,原作ファンの我が侭で贅沢な想いが混ざっての事ですし,「この作品が私の中ではいつまでも続いていって欲しい」という,欲求の裏返しなのですがね(;´∀`)
あとは,元々楽観的な素地は強い「ARIA」という作品の中でも,今回はひときわ楽観的なテーマやセリフ遣いが多く用いられていたので,さすがにそれが少し鼻についてしまったかなーという感じはありました。
原作の中では結構,一回挫折して気持ちを落としておいてから,それを打破する点に素敵な言葉や気持ちの強さなどが表れてくることも多いので,今回ほどまでに楽観的なセリフが並べ立てられてしまうと,さすがに少々嘘臭く感じてしまいますね。
まあこの挫折辺りの話は,半ば藍華ちゃんの専売特許でもあるのですが(苦笑),「ARIA The NATURAL」の時にもしっかりと描いてくれていましたし,今回のシリーズでも今後描いてくれるであろう事は,期待できるでしょう。
それにしても,今シリーズの白眉はEDにありそうですね。
新居昭乃さんによる曲の素晴らしさもさることながら,このイラストの美麗なことといったら,感激ものです。




果たして灯里は,七色に輝く,“自分だけの輝き”を手にすることができるのでしょうか。


次回は,なにやらARIAカンパニーに,大変なお客様が訪れるようですね。
しかもアリシアさんではなく,まだ半人前な灯里をご指名だそうです。
それでは次回も,この美しい水の惑星で時間を共にする喜びを楽しみに,今は期待して待ちたいと思います。
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ARIA(11) (BLADE COMICS) カーニバルが終わり、いつもの落ち着きを取り戻したネオベネツィア・・・。灯里は少しの寂しさを感じながらも、素顔のネオベネツィアに一つの素敵を見いだしていた・・・。
Author:ARIA
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