ARIA’s Blog

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■諸々辞めましたが,Twitterでは今まで通りに

適当な情報botと毒を吐いていることと思いますので,

よろしければそちらで付き合ってやってください。




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ARIA The ORIGINATION 第2話 「その 笑顔のお客さまは…」



「ORIGINATION」はやはり,オリジナルエピソードを中心としたシリーズなのでしょうか。
第2話も原作の魅力を引き継ぎつつ,アニメシリーズ独自の魅力もあふれる,素晴らしいお話でした。

今回は特に,「ネオ・ヴェネツィアという街と,その街を愛する住人たち」にスポットを当てたお話となったようです。




Aパート。

春が近付く穏やかな日々,ARIAカンパニーは今日もいつも通りな雰囲気です。
しかし,カーニバルが終わって忙しい観光シーズンは過ぎ去ったとはいえ,水の三大妖精のひとりであるアリシアさんを抱えているだけあって,お客さんは途切れることなく,まだ少し忙しそうですね。

灯里も精力的にアリシアさんのお手伝いをしていますが,この辺りの描写は,原作ではページ数の都合上なかなか描かれることがない,見習い準備中である灯里の仕事の様子がしっかりと描けていて,世界観に深みを与えてくれています。
見ていてキャラクター達に親近感が増す描写で,嬉しくて心が弾みました。
お客様へ手を貸す灯里を温かく見守るアリシアさんのまなざしなどは,特に印象的で良いですね。

そんな“いつもと同じ”日を過ごしていた灯里の元に,一本の電話がかかってきます。
いつもと同じ,アリシアさんへの指名予約電話だと思っていた灯里でしたが,なんと驚くことに,電話先のお客様はシングルの灯里を指名してきたのです。

急な依頼に思わず驚きの声を上げる灯里でしたが,そのまま呆けて終わることがなく,しっかりとフォローできていたのは良かったですね。
「NATURAL」で暁さんのお兄さんから依頼を受けた時と比べて,灯里がしっかりと精神的に成長していることを感じさせる場面だったのでは,と思います。
アリシアさんとアリア社長に励まされて,頑張ろうと決意する声にも,力がこもっています。





今回,私がまず初めに惹かれたのがOP場面で,いつもと同じく映像の上ではストーリーを進行させていたのですが,その見せ方がとても上手かったと思います。

特にARIAカンパニーを俯瞰した部分で,タイトルが流れたあと,天窓から灯里とアリア社長が移動している様子を見せているカットから,屋根裏部屋から2階の電気が消えて1階に明かりが灯るカットまでの流れなどは,細かい部分にもキャラクター達の息が通った様子を感じる事ができて,感心させられました。

お夜食のドーナツを食べるアリア社長の様子も,面白くて良かったですね。
特に灯里の分まで食べてしまって,それに気付いた灯里が嘆いているのを見て,慌てて食べているドーナツを半分こにして分けてあげる描写は,ちょっと微笑ましくて面白かったです。

明日のために色々と動き回って調べ物をしたり,明け方まで頑張って準備をしたままで眠ってしまう灯里の様子も,新鮮な感じがして良かったです。
オープニングにあわせて,これら一連の描写をそつなく省略してまとめて見せている辺りは,さすがの演出力だなと思います。





タイトルが明けて,のっけから灯里は大あくびです。
朝方まで準備をしていて寝ていなかったのだから仕方が無いことだと言い訳していますが,藍華には「春の大あくび禁止~!」と,早速のダメだしを食らってしまいます。

そういえば前回にもあくびの描写がありましたが,藍華のセリフにもある通りに,春という季節の穏やかさを表してもいますし,それ以上にやはり,ネオ・ヴェネツィアという街の穏やかで優しく流れる時間と空気を示すのに,これほどまでに適した素材も無いのだろうなと思います。





アリシアさんの予約が空いていたにもかかわらず,わざわざシングルの灯里に指名が入ったと聞いて,藍華は「何か理由があるに違いない」と,不吉なことを言い出します。
どうやら,シングルのウンディーネをわざと指名して,その娘を相手に無理難題を言って楽しむ客がいるという噂を聞いた事があるそうです。

ポケポケな灯里なんかでは,そんな客を相手にしたらいじられるだけいじられて大変な目に合うと脅す藍華でしたが,想像シーンのデフォルメキャラの使い方が楽しいですね。
特にアリア社長の扱いが不憫すぎて,思わず笑ってしまいました。

対してアリスは,「もしかしたら伝説の抜き打ち検査官かもしれない」と予想します。
こちらは,ゴンドラ協会から派遣された伝説の検査官が,シングルの適正をチェックするという噂を聞いた事があるとか。

もしチェックに不合格だった場合は,ペアへと格下げされてしまうと聞いて不安がる灯里でしたが,藍華とアリスに励まされて,いよいよ約束の時間を迎えてARIAカンパニーへと戻ります。

このアニメを楽しく見せてくれているもののひとつに,灯里たち見習い三人娘によるガールズトークが挙げられると思うのですが,今回はそれを上手く活用して,ストーリーを進行させていますね。
その上で,見ている側にまだ見ぬお客様への興味を想像させるようにかきたてている辺りは,上手い構成だなと思いました。





久し振りの指名に緊張しながらも,アリシアさんに優しく元気付けられて,灯里が明け方までかけて頑張って作成したプランを探し出しているところへ,いよいよ指名をされたお客様がやってきます。

優しく灯里に微笑みかけるご婦人はアマランタと名乗り,穏やかに挨拶を交わします。
見るからに良い人なご婦人で,藍華やアリスの不吉な予想が杞憂に終わって,ホッと安心したのですが,アリシアさんとはなにやらお知り合いな様子。

向かいに失礼させてもらおうとしたアリシアさんを呼び止めて,隣に座らせ,「一緒に楽しみましょう」と呼びかけるのを見るだけでも,「間違いなく良い人だな」ということを感じさせるのですが,どうやら謎のご婦人は変わったお客様のようで,「どこかご覧になりたい場所は」という灯里の質問に対して,「灯里だけにできるネオ・ヴェネツィアの案内をお願いしたい」と答えます。

なんでも,若い頃からネオ・ヴェネツィアの大ファンだったそうで,もう何回も観光に訪れているので,大方の名所は見尽くしてしまったそうなのです。
自分にできるのか,と少し戸惑う灯里でしたが,アリシアさんに促されて,「精一杯頑張ります」と,決意します。

ここで今回の主旨が決定されるわけですが,前回が三大妖精たちと見習い三人との絆を中心にした,人と人との関係を主軸に展開されるお話であったのに対して,今回は灯里から見たネオ・ヴェネツィアの魅力,つまり人と街とそこに住まう人々の関係を描いたお話となるようです。

「ARIA」最大の魅力の一角であるのは,言うまでもなくネオ・ヴェネツィアという街が持つ魅力であり,その最たるものとしては,街を流れる空気感や美しい風景があるのですが,表立って目立ったそれ以外にも,ネオ・ヴェネツィアにはそこに住まう人しか知らない,様々な隠れた魅力があって,それをアマランタさんと一緒になって,灯里に紹介してもらって体験していくことに,今回の話の楽しみがあるのだろうと思います。

そのためには,見ている側に,そこまでの臨場感を与えることに成功していなければならないと思うのですが,しっかりと確立された世界観と,キャラクター達の魅力がそれを後押ししていて,今までのシリーズをも含めて,ここまでの間ですでに,この独特の世界観にすっかりと魅了されて楽しまされているのは,やはりさすがとしか言えません。





観光案内に勤しむ灯里に負けじと,練習するぞと息巻いていた藍華とアリスでしたが,やはり灯里の様子が心配なようで,こっそりと後を付けることにします。

灯里を欠いたこの2人だけのやり取りというのは,今までも多少はありましたが,やっぱりちょっと新鮮で,何とも面白いですね。
特にアリスに対しては先輩ということで,いつも以上に強気にお姉ちゃんぶっている藍華が楽しいです。





何の変哲も無い水路の真ん中で止まって,ゴンドラを調整すると,屋根の上の彫像が浮島を抱きかかえているように見えるという,それはまさに,毎日水路で練習しながらも,周囲の色々な様子や風景に心を配っていないと分からない,色々なものを楽しんで見ている灯里にしか見えない世界の景色。

灯里らしさを感じさせる表現としては,これ以上無いくらいに良いチョイスだったのではないかなと思います。





名所ではない変わった楽しみという点でも,これはなかなか普通では発見できないものだと思ったのですが,アマランタさんはとても喜んでくれながらも,もう少し前の方にゴンドラを進めて,2本のパリーナの間へゴンドラを進めて欲しいと,灯里にお願いします。

すると今度はなんと,2体の彫像が浮島を持ち上げているように見えるのです。
それを見た灯里が,アマランタさんへ,「前にもここに来たことがあったんですね」と尋ねると,アマランタさんはアリシアさんと見つめあい,にこりと微笑みます。

ここではまだ説明されないのですが,以前アリシアさんも,シングルだった頃にアマランタさんを乗せてネオ・ヴェネツィアを案内したことがあると,後半の会話に出てくるので,それを考えればこの“パリーナの間から見た風景”は,間違いなく昔,アリシアさんがアマランタさんに見せた風景だったのだろうと,このふたりの笑顔から推察できますね。

それを言葉にせずに,黙って「お願い」という形で示すところに,アマランタさんの優しい人柄が良く表れていますし,さらには,今回のストーリーを決して嫌味に感じさせない工夫が出ているように思います。

後をつけている藍華とアリスが,その風景を共有できないというのは,ちょっと残念な事ではあるのですが,その風景が,時間を共にしている者にだけ与えられた,特別なネオ・ヴェネツィアからの贈り物であるという事を端的に示してもいますし,普通はそう簡単には見つけることができない,周囲に無数に広がる“素敵”を,いつでもどこでも探している人だからこそ叶った発見だったのだということも分かります。






Bパート。

灯里は引き続き,彼女だけが知っているネオ・ヴェネツィアを案内します。
次に訪れた場所は,教会の裏手側なのでしょうか,牧師さんが密かに趣味で作り続けている,ネオ・ヴェネツィアの精巧なミニチュアモデルです。

ここからは単に,ネオ・ヴェネツィアの隠れた魅力を引き出そうというだけに止まらず,ネオ・ヴェネツィアという街を愛する人たちの姿を通して,その魅力を伝えようという灯里の意志が込められてくるのですが,これも彼らと同じように,ネオ・ヴァネツィアが大好きな灯里だからこそできる案内なのではないかと思います。

後を追ってきている藍華とアリスが,こっそりと様子を伺っていますが,彼女たちもこの場所を知らなかったことから考えても,灯里がアマランタさんに少しでも新しいネオ・ヴェネツィアの魅力と,街を愛する素敵な人々を知ってもらえたらという思いが,強く表れている事を感じさせます。

藍華とアリスがアリア社長に見つかってしまって,顔の血の気が引いている場面などは,見た目だけにも楽しいのですが,単にそれだけに終わらず,アリア社長が藍華とアリスを見付けて嬉しくて騒いでいるのを見て,灯里がそれに気を取られている陰に隠れて,実はアマランタさんは,前にもここを訪れてミニチュアを見たことがあったのだということを裏で展開させている構成は,とても上手かったと思います。

そこには,少しでも新しい魅力を伝えて自分を楽しませてくれようとしている灯里に対する,アマランタさんの優しさが表れているのです。

さらに,牧師さんとの会話で,「この前来た時は,まだサンマルコ地区しか完成していなかった」ということを言っていますが,そこには「だから今回見て,前よりも大分できあがっていることに驚いた」という気持ちが表れていて,それはつまり,「何回来ている場所であっても,そこには新しい発見がある」という事を示しているのだと思います。

「完成するにはあと5年はかかりそう」という牧師さんのセリフからは,「これから先にも楽しみが残されている」という喜びを感じられますし,それはミニチュアを造っている牧師さんだけの楽しみなのではなく,アマランタさんにとっても,そして恐らくは灯里たちにとっても,「今後もまた機会があったら訪れたい」という,同じ楽しみなのです。

「色々な人が居るのね」というアマランタさんとアリシアさんの微笑みは,灯里に対する優しい気遣いだけではなく,「そういう人が居るネオ・ヴェネツィアは,本当に素敵な街だ」という風に思っていることが伝わってきますし,「それを伝えようとする灯里さんは,同じように素敵なウンディーネですね」ということをも,暗に伝えようとしているセリフであると思います。





灯里たちは続けて,ネオ・ヴェネツィアの様々な場所を見て回ります。
水路の横にある小舞台。和洋折衷といった感じの,変わったせんすを売るお店。軒先に巣を作ったツバメたち。美味しいじゃがバター屋さん。
どれも“特別ではない”ネオ・ヴェネツィアの日常の中にあって,そこに住む人たちだけが知る,“特別な”楽しみ。

今までのシリーズの中でも出てきたように,AQUAには日本風の造りをした街も存在するのですが,ネオ・ヴェネツィアもどこか,日本風の雰囲気を感じさせるところが,随所に存在する街なのですよね。

テラフォーミングをする際に,最初にAQUAへ降り立った移民たちの中に,日本人の血を引く人達がいたのでは,と推察できるようなお話も,何回かありましたが,今でもなお,せんすをお土産で売るようなほどまでに,日本の文化が色濃く残っているというのは,ネオ・ヴェネツィアという街の独特な魅力を感じさせる点として,ちょっと面白い部分ですね。

サンマルコ(広場)とかリアルト橋と書かれた,変なせんすを持ってはしゃぐアリア社長と,それに微笑む灯里やアマランタさんの画が,何だか「ARIA」らしいような,らしくないような,妙に浮いた感じがして,おかしかったです。

「ARIA」といったらじゃがバターと言えるくらいに,アニメシリーズでも最初の話で登場した,インパクトの強い食べ物が再登場しましたが,アリスちゃんじゃなくても,見ているこちらまで本当にお腹がへってきそうになるくらいに,美味しそうですね。

私は原作を読んだ時から,たまに無性にじゃがバターを食べたくなる時があって,その度に買ってくるようになりました。
多分,これを放送した次の日は,絶対に通常よりもじゃがバターが売れたのではないかと思います(笑)

灯里がアリア社長にじゃがバターを食べさせてあげている後ろで,アマランタさんが「最近バターを変えなかった」かと,じゃがバター屋さんに問いかけていますが,この質問の仕方は絶妙だと思います。
ただ「なんだか味が変わった」と言うのではなく,「バターを変えた」というところに,アマランタさんがこのじゃがバターを,ネオ・ヴェネツィアを訪れた時すでに何回か食べていることが伺えますし,その分だけ相手の心象が良くなります。

アマランタさんのセリフは,この場面だけに限らず,どの場面でもその人柄が感じられるような,話している相手に対する気遣いが感じられるものに徹底されているのですが,ここではそれが顕著に表れていたと思います。

そしてここでもまた,「以前より美味しかった」というセリフに表されるように,「たとえ何回来ている場所であっても,そこには新しい魅力の発見がある」という,今回の根底を流れているテーマが示されているのです。
もちろん,単に以前よりも美味しかったというだけではなく,バター屋さんが一生懸命に良いバターを探して,お客様に少しでも美味しいものを食べて欲しいという心遣いをこめて作ったものだからこその話で,「大切なのはその心がこめられていること」という,アマランタさんがクライマックスにいうセリフにある,今回最大のテーマへと繋がる伏線にもなっています。





「“いつも”ありがとうございます」というじゃがバター屋さんの言葉に,灯里は,「もしかしたらア今日案内した場所は,すでにアマランタさんが訪れた事がある場所ばかりだったのではないか」と,薄々と気が付き始めます。

「今日は本当にありがとう,とっても楽しかったわ」というアマランタさんの笑顔を見ても,灯里は満足し切れず,どこか浮かない顔で,ついにはゴンドラを停めてしまいます。
もう予定の時間が迫っていましたが,灯里は最後にとっておきの自分だけができる案内をしたいと,アマランタさんとアリシアさんにお願いします。




細く狭い水路を抜けて,水没した階段を抜けると・・・




そこは,沈みゆく街が造りだした,美しい花と水の庭園。

水位が上昇した時に水没して,今では使われなくなった修道院の裏庭は,灯里だけが知るとっておきの秘密の場所だったのです。

すると,アマランタさんが,奥にある扉を指して,「あの向こうには何があるのかしら」と灯里に問います。
「分からないです」と答える灯里に,微笑みながら,「ちょっと行って見ましょう」とアマランタさんは言うのですが,この受け答え方も絶妙ですね。

知らないことを咎める様な言いまわしではなく,「一緒に楽しんでみましょう」という「お誘い」の形を取っているのがポイントだと思います。
それはアマランタさんの優しさを表してもいますし,何でも楽しんでみようとする,好奇心旺盛な性格も表しています。

後で示されるように,実際のところは,アマランタさんはこの場所をすでに訪れたことがあって,奥に何があるのかも,もちろん分かっているのですが,分かれ道でも「このまままっすぐ進んでみましょう」と,言葉遣いを「お誘い」の形にしているところに,キャラクターを優しく,魅力的に見せることができている秘訣が存在していると思います。

その後に続いて,灯里たちを隠れて追う藍華とアリスが,分かれ道でそれぞれ違った方へ進もうと指差す描写も,ちょっとユーモアが合って面白いですね。




水没した暗い建物の中を抜けて,光が差し込む方へと向かった灯里たち。
ついに出口が見えて,扉を抜けるとそこには,




回廊の間に咲く美麗なフジが,花を満開に咲かせて佇んでいました。

「あの下まで行ってみましょう」と誘うアマランタさんの言葉に頷いて,灯里はゴンドラを進めます。

あまりにも美しく咲く大量のフジの花に,ため息をついて,言葉もなくただうっとりと見上げる事しかできないのでしたが,アリシアさんがまだフジの咲く時期には早いことに気が付いて,疑問を口にします。

フジが咲くのは春がきて,桜の花が散ったあとですから,確かに春が近付きつつあるネオ・ヴェネツィアには,まだ早いですね。

その言葉にアマランタさんは,「この場所は太陽の光はよく届くのだけど,建物に囲まれているから冷たい風が吹き込まないので,外に比べるといつも花の咲く時期が早いのだ」と説明します。




「いつも」という言葉に,灯里はアマランタさんがすでにここに来た事があったのだと確信し,そのことを尋ねます。
「今日自分が案内した場所は,全てアマランタさんにはすでに訪れた事がある場所だったのではないか」と。

するとアマランタさんは,優しく頷き,「自分だけの素敵な場所をご案内したかったのですが,すみませんでした」と落ち込んで謝る灯里に対して,「今,自分の胸の中には,今日の素敵な思い出がいっぱい詰まっているのよ」と諭します。

「今日案内してくれた場所には全部あなたの思いがこもっていた」と。

大切なのは,少しでもお客様に楽しんでもらえればと思う心であり,自分が本当に大好きなネオ・ヴェネツィアという街を知って欲しいと思う心。

どんなに美しい観光名所であっても,どんなに美味しくて豪華な食べ物であっても,提供する人の心がこもっていなければ,素敵な思い出にはなれない。

「ARIAカンパニーのおもてなしの心は,しっかりと受け継がれているのね」と微笑むアマランタさんに,灯里は大切な心と思い出をもらいます。

これが今回最大のテーマですが,アマランタさんのセリフに与えられている重みが,単にひとりのゲストキャラとしてのそれ以上に大きいのは,すでに何回も述べてきている通りに,アマランタさん自身が,言葉でも行動でも示してきていたからこそだと思います。

そしてそのことによって,今回の話が,形の上では灯里がアマランタさんに対して,ネオ・ヴェネツィア案内するというものになっているのですが,その実は,アマランタさんが灯里に対して,「自分が大好きなネオ・ヴェネツィアという街にはこんなにたくさんの素敵なものがあるのよ」ということを,心をこめて教示する話でもあったという,二重の物語性が垣間見えてくるのです。

後を追ってきていた藍華とアリスが,ここでとうとう見付かってしまいますが,慌てるアリスのセリフが面白いですね。
藍華が灯里のことを心配していたのは,誤魔化しのセリフでありながらも本当のことであって,それを聞いて恥ずかしがってアリスの所為にしようとする辺りは,いかにも藍華らしい性格が表れていたと思います。

それを見て,「素敵なお友達ね」というアマランタさんは,ここでも新しいネオ・ヴェネツィアの魅力を発見したのでしょう。
灯里も「はい,とっても」と,誇らしい友人達を再確認して,満足そうです。




帰り道,「シングルのゴンドラに乗るのが好きなのは自分だけじゃないのよ」と,アマランタさんは笑いながら言います。

元々,シングルのゴンドラに安く乗れるという制度は,皆でシングルを育てようという思いが広まったもの。

次世代のウンディーネたちを育てることは,街全体を成長させること。
素敵なウンディーネたちがたくさん育っていくことで,ネオ・ヴェネツィアは,もっともっと新しい魅力を持った街になっていく。
だから,「シングルが操舵するゴンドラに乗って,彼女たちの成長を見守る事こそが,自分にとって最も幸せなこと」なのだと,アマランタさんは素敵な笑顔で言います。

今日もまた,3人の素敵な見習いウンディーネたちと出会えた事に満足して,そしてまた,ますます新しい魅力を備えていくネオ・ヴェネツィアを見届けて,アマランタさんは幸せな気持ちいっぱいで帰ることができたでしょう。




いつかプリマになった時にまた,ますます成長した自分たちと,ネオ・ヴェネツィアという街の魅力を伝えることができるように。

灯里はアリシアさんへ「頑張ってプリマにならなくてはいけませんね」と決意し,藍華とアリスもまた,明日から頑張っていこうと,目標を再確認しました。

この辺りは前回に引き続いて,今シリーズの指針というべきテーマなのでしょうか。
やはり「ORIGINATION」では,原作の流れを考えても恐らくは最終シリーズとなることでしょうし,灯里たちがプリマへと向けて,いよいよ踏み出していく変化と成長をテーマにしているようですね。

その方向性を定めるのに,非常に適したストーリーを見せることのできた,スタートからの2回となったのではないでしょうか。




さて,今回のまとめとして,今回のテーマは,「人が成長していくことを通して,以前に訪れた場所であっても,街には新たな魅力を常に発見できる」ということと,「本当に大事なことは,どこで何をするのかということではなく,そこに相手に対しての気遣いや心がこもっているかどうか」ということでしょうか。

あとは,「街とその街に住む人々,もっと言って,その星とその星に住まう人々同士が,お互いに愛し合うことによって,共に成長していく」という,壮大なテーマをも感じさせるものがありました。

今回は街を見せるストーリー構成という事で,実際にネオ・ヴェネツィアという街を観光しているような楽しさがありましたし,灯里たちとの時間の共有という感情も得やすかったと思います。

まるで自分がその場にいるかのような臨場感は,今までのシリーズを通して,作品に長く接していることによる感情移入の度合いが,非常に強くなっているのによって,そうさせるところが大きいとは思うのですが,やはりそこには,「ARIA」という作品が持っている独特に確立された世界観や,作中に流れる雰囲気や,美しい風景による部分もあると思います。



ストーリーに華を添えるBGMの美しさも相変わらずで,声優さんたちの好演も,いつもながら見事でした。

前回は少々違和感が残る部分もあったのですが,やはり久し振りであった反動もあったのでしょうね。
今回にはもう,早速修正されている辺りは,私なんかが言うのはとても失礼に当たりますが,やはりプロの力ですね。

その中でも特に,ゲストキャラのアマランタさんを熱演された杉山佳寿子さんは,さすがは大ベテランという貫禄を随所でご披露下さいました。
アマランタさんの優しい人柄を感じさせるのに,杉山さんのお声が多大なる貢献をされていたことは,言うまでも無いことですね。

そのアマランタさんのデザインは,エンディングのクレジットを見ると,原作者の天野こずえ先生ご自身が手掛けられていたようで,どうりで原作に居たとしても全く不思議のない,魅力溢れるキャラクターになっているはずだと思いました。
モブキャラクターとしてでも良いので,原作にそのまま逆ゲスト出演して欲しいくらいに魅力的でした。



今回は個人的には,特に不満点らしいところも見当たらず,全体的に満足度の高いエピソードとなりました。

街の美しさと,そこに住む人々の姿を通して魅力を発見していくというのは,いかにも「ARIA」らしいストーリーで,とても分かりやすかったですし,「いつも過ごしている日常にだって,いつもどこかに新しい楽しみがある」というテーマ性も,「街と人の成長」というテーマ性も,どちらも「ARIA」という作品の根底をいく普遍的なテーマだと思うので,王道的なエピソードだったと思います。

逆に言えば,あまりにもこの作品らしい普遍的なエピソードだったので,特徴らしい特徴もなく,若干インパクト不足という感は否めなかったのかもしれません。

ですが,私としては特別性を重視した話よりも,あえてこの作品らしい王道的な展開の中で,灯里たちがこの先,成長して進んでいく道という,今シリーズの“変化”というテーマを垣間見せる手法を取ったところこそに,この話の意味があったのだと思いますし,だからこそ高く評価したいと思います。
恥ずかしながら,第2話目にして早くも涙腺が少しばかり緩んでしまいました。

もちろん,単純に「ARIA」という作品を彩る要素のなかで,最も重要である風景の美しさという点から言っても,フジの花や回廊の美しさ,灯里がとっておきの場所にしていた花壇の華やかさをはじめとして,しっかりと描き込まれた水の質感や,狭い水路の描写など,細部にわたってレベルの高いエピソードだったと思います。




次回もまた,どうやら予告を見た限りでは,アニメオリジナルのエピソードのようですね。

ネオ・ヴェネツィアに新しくオープンしたお店についてのお話となるようです。
果たして,そのお店に,そしてそのお店で売られている商品にこめられた想いとは,どのようなものなのでしょうか。

では,次回も期待して待ちましょう。

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    2008/01/16   『ARIA The ORIGINATION』 感想     218TB 0   218Com 0  ↑ 

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